2023-01-01から1年間の記事一覧

幸せ

悪い男にもらった幸せだけを抱えて、悪い男自身は切り捨てるべき時が来ているのかも。切り捨てても幸せは抱え続けるからずっと一緒です。

完璧なデート

思いの外早く目覚めてしまったが、寒くてベッドからは出られない。意を決してエアコンのリモコンに手を伸ばし、腕に刺さる冷たさに縮こまりながら電源ボタンを押す。 この部屋に越してきてから1年経つ。 ひとりで暮らしているが私はまだ彼が帰ってくるのを待…

弱くなるのに

アルコールを飲むと大抵の人は様子が変わる。 笑う、泣く、怒る、暴れる、寝る。 どう転ぶとしても(飲酒運転が法で禁じられているように)アルコールを摂取すると少なからず判断力が低下することが多い。それなのに、アルコールを摂取するのは勇気があると思…

4年前

4年前の今日、私はこのブログを開設したらしい。 大学卒業に向けて苦しんでいたこと、恋愛に絡む人間関係に苦しんでいたことをうっすら思い出せるけれど、今となっては死んだひとを偲ぶ気持ちに近いものがあると感じる。いや当然つらかったんだけど。ブログ…

あるいは傷つけ合ったあとに

「別れてください」 何度送られてきたか分からない。 昨日散々抱いておいて別れてくださいはないだろう、と思うがこの程度の突拍子もなさで驚いていても仕方ない。 「昨日あんなふうに抱いておいて別れろと言われてもはいそうですかとは言えないです。」 至…

携帯小説

「ねれない」 午前4時32分に送信されていた。アラームを止めて最初にすることは恋人からのLINEを確認することだ。眠れないという内容のLINEはほとんど毎日送られてくるため、正直慣れてしまったし、さりとてなんと返信するのが一番良いのか分からない。 「お…

また会えるから

ミカは昔から物を頻繁になくす子だった。彼女の母親がいくら持ち物に名前を書いても、目立つ色の持ち物を用意しても彼女は持ち物を失くしてしまうのだ。 とはいえミカが失くすものは小さいものばかりだった。ピンクのハンカチ、黄色いクレヨン、オレンジ色の…

マッチングアプリ

帰宅後真っ先にすることはベッドに寝転がることで、その次にすることはマッチングアプリを開くことだ。審査の甘いアプリを使い、26歳看護師という設定になりきっている。26にしたのは自分より若いが絶対的に若いわけではない女がどう扱われるのか興味があっ…

流れるままに

「明日、会えませんか?」 そう送ったけれど既読すらつかず、諦めた私は他のトークルームを開く。 「明日会いたい」 さっきまで別のことについてやり取りしていたのにぶった切るような言葉を送った。 「何時?」 意外にもすぐ返信が来て、私はその男と会うこ…