ひとを失った。厳密にはすべての連絡手段を絶たれたわけではない。用があれば連絡くださいとも書かれていた。まあそれが字義通りだと多くの人は解釈しないだろうが、ともかくそのひとはそう送ってきた。それだけが一抹の救いだ。
どうすれば良かったかは明白で、私が私のことを話しすぎなければ良かった、あるひとのことばを借りるなら何も言わなければ良い、わけだったんでしょう。それってどういう関係性なんでしょうかという問いは残るが。
そのひとにまつわるあるものを手放した、厳密には全然関係ないひとに譲った。とはいえ私が贖ったものだから問題はないでしょう。
それでも。それでもそのひとが好きな音楽を聞いては心のリストカットをしている気分になっている。耐え難い不在が楽曲で埋まるわけもなく。
その人がご教授くださった厚い厚い本を手に取るべきときがきたのかもしれませんね。
ねえ神様あなたが私たちに与えた試練は何なのですか?